12】 ミチコが去って行ってからまもなく,オヤッサンが帰って来ました。
「ただいま,ミッチー! オリコウにしてたかい? 今日はこんなカワイイ人形が捨ててあったから,オマエが歓ぶだろうと思って持って帰ってきたんだよ。ミッチー,はやく出ておいでーっ!」
オヤッサンは青いテントの入り口からミチコに呼びかけました。でも,返事がありません…。
オヤッサンは胸騒ぎがしました。
「ミチコ! ミッチー!? どうかしたのか? どこにいるんだい?! いたら返事をしておくれぇーっ!!」
しかし,呼べど答えは無く姿も見えません。
オヤッサンは慌ててそこらじゅうを引っ掻き回しましたが,大事なミチコはどこにもいません。
オヤッサンはおろおろしてしまい,テーブルがわりに使っているカラーボックスに,けつまづいてしまいました。
そのとたん,バサ! と音がして沢山のお金が散らばりました。
「なんなんだ?! この大金は!? どうしてここに,こんなに沢山入ってるんだ???」
オヤッサンはもう,何が何だか訳がわからなくなってしまいました。
そのうちに少しだけ落ち着いてきましたので,冷静にあたりを見回してみると,お札に混じって「おとうさんえ」,と書かれた手紙がある事に気付いたのでした…。