電人少女 第四章

『エヂソンさんとエジソンさん』

36】★「お姉ちゃんねえ、もうじき生まれ変わるんだ…だからここまで降りて来れたの…お父さんはもっと天高くにいるのよ…そういう訳だから、こういう所でこの姿で会えるのって、今回が最初で最後なの。」
   ◆それを聞いて、ミチコはとても寂しくなりました。
「…もう二度と会えないのね…?」
 お姉さんが言いました。
「ううん、そうじゃないのよ。お姉ちゃんは生まれ変わって、どこかのお家の赤ちゃんになるのよ。だからミチコちゃん、どこの赤ちゃんでも、もしかしたら私かもしれないから、可愛がってあげてね?」
 「はい! 約束します…」
 ミチコのその言葉を聞いたお姉さんは、嬉しそうに微笑みながら、ミチコの目の前から消えていきました……
 ミチコがつぶやきました。
「さようなら…わたしの、人間のお姉さん……」


37】★やがて、風船オジサンが戻って来ました。
「やあ、遅くなってごめんごめん。今回は地上に戻る子供たちが予想以上に多くてね、手続きに時間がかかってしまった…さあ、みんな、順番にこの飛行船に乗ってください。パパやママやお友達がみんなの帰りを待っているよ!」
 風船オジサンの呼び掛けに、何百人もの子供達が集まって来ました。
不思議な事に、その全員があの小さいバスタブのようなゴンドラに乗り込めたのです。
  ◆風船オジサンがミチコに言いました。
「君もよく頑張ったね。偉かったよ!」
  「風船オジサン…」
  「なんだね?」
  「これでお別れなの? ちょっと寂しいなあ…」
  「君は長生きするだろうからね。また会うとしたら何百年も、ひょっとしたらもっと先になるだろうなあ…オジサンも君のような良い子とサヨナラするのは辛いんだが…
でもね、ミチコちゃん、オジサンは姿は見えなくても、いつでも世界中の空でお仕事しているからね。
君たちの事をこれからもずうーっと見守ってあげるよ。
いや、それ以外に何もしてあげられないのだけれど…みんなが頑張ってる姿も、一人ぼっちで哀しみに立ち向かってる姿も、この上も無いほど喜んでいる姿もすべて、この飛行船の上から見て、応援しているからね?
  …おっと、もうすぐ地上だ! さあ皆んな、勇気を出して飛び出すんだ! 下で皆んながまっているよ!」
 風船オジサンの掛け声に合わせて次々に子供たちが空に舞っていきます。
ミチコの番ももうすぐです。


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